レース中の補給についてまとめ(2)

続きです。

前回はこちら。
「レース中の補給についてまとめ(1)」

(4)糖を使い切らないようにするには
では、どうすればレース中に糖を使い切らないようにできるのでしょうか。

ひとつの方法に、「体内の糖の量を増やしておく」ということがあります。
いわゆる「カーボローディング」というものです。
レース3日ほど前から食事を炭水化物中心に変えることで、
一時的に体内の糖の量を増やしておくという方法です。

カーボローディングは確かに一定の効果があると思います。
特に普段から低糖質食を実践している人には、バテるのが遅くなったと感じされるかもしれません。

しかしカーボローディングをして増える体内の糖量はわずか。
最大でも1.3倍程度とされ、300gが400gになる程度。400kcal分です。
糖はその3倍の水分を捉えるため100g増えると体重は400g増量となり
マラソンやヒルクライムでは不利になることもあるでしょう。
また、カーボローディングをして胃腸の不調に陥ったことがある人も多いのではないでしょうか。
レース前に下痢や便秘をしたり、レース中に便意をもよおしたりと、
リスクも大きいように思います。

あくまでも、「レース前に肝・筋グリコーゲン量を減らさない」よう、
低糖質食を止めて通常とるべき量を摂る、程度でいいのかな、と私は思っています。



それよりも影響が大きいのは、レース中の糖の使い方です。
それによって、エネルギーの「持ち」は大きく変わります。



(5)どうやって糖を節約するか
前回記述したように、レース中に摂ってエネルギーになる量には限りがあります。
また、補給をすること自体が消化器の負担になり、呼吸の妨げにもなります。

できるだけ身体にある糖を節約して、ふんだんにある脂肪を使いながら運動し、
必要最小限の補給をしながらゴールに向かう。
それがロングレースの補給戦略であると、石橋さんは謳っています。


糖を節約するためにはいくつか方法があります。
1)糖の利用割合が低い強度を保つ
2)糖の利用割合が低い体質に鍛えておく(脂質代謝化)
3)糖の利用割合を低くする食品を摂る
4)糖の利用割合が高くならないよう補給量を保つ


1)糖の利用割合が低い強度を保つ
前回説明したように、運動強度によってエネルギー源の割合は変わります。

個人差は大きいのですが一実験結果では、
 運動強度50%では糖と脂肪が50:50、
 運動強度90%では糖と脂肪が75:25で使用されていることが分かりました。
最大心拍数185、安静時心拍数50で計算した場合、
心拍118が運動強度50%、心拍172が運動強度90%です。

ここまで極端ではなくとも、運動強度75%(心拍数151)と運動強度85%(同165)では
糖の利用割合は10%違います。
レース中の心拍数を管理し、適切な運動強度に保つことは、
糖の節約に非常に効果があると考えられます。

序盤に力強く飛ばして抜いていった人が、
ハンガーノックでヘロヘロになって落ちてきたり、
内臓の不調で嘔吐してDNF、などはそう珍しいことではないと思います。

練習で適切な強度を把握し、レース中もそれを維持する、ということが
長い時間のレースでは重要であると思われます。




2)糖の利用割合が低い体質に鍛えておく(脂質代謝化)
上に「個人差は大きいのですが」と書きました。糖の利用割合は個人差が大きいのです。
そしてそれは鍛えることができます。

体内の糖が少ない状態で運動を続けると、身体は糖を節約するようになります。
朝食前の運動習慣がある人は、夕食後や睡眠中で糖の量が減った状態で運動しているので
脂肪を利用する体質化が進んでいる可能性があります。
また、運動時間が長い場合も運動の後半では糖の量が減った状態となっており
同様の効果があると思われます。
なので、脂質代謝化という意味では、1時間の運動を2回よりも、
2時間の運動1回の方が効果的であると言えます。


他にも、普段の食事で糖を摂りすぎない(低糖質がいいと言っているわけではありません)、
運動の開始時のアップを時間をかけて行う、
なども脂質代謝化に有効であるようです。



3)糖の利用割合を低くする食品を摂る
運動前に摂取すると、脂肪を燃やして運動できる!と謳っている商品があります。
実際にあれを飲んで「バテなくなった」と感じている人もいるようです。


私がこの「バテなくなった」「運動中に空腹を感じなくなった」と
はっきり効果を実感している食品は「無水クエン酸」です。
上の商品と違い非常に安価です(笑)

石橋さんのクエン酸研究を知り試したところ、
すぐに効果を実感できました。
高いものでもないので、毎日運動前に摂取しています。
もちろんレース前にも飲みます。

石橋さんが実験しているデータでは、運動前にクエン酸を飲んだグループと
飲んでいないグループで、糖利用割合に明らかな差が見られています。
クエン酸を飲んだことで糖を節約して運動できているから
体内の糖が減るのが遅くなって「バテなくなった」ということだと思います。

具体的な飲み方は、
・運動の30分から1時間前に
・体重1kgあたりクエン酸0.05gを
・できればカプセルに入れて(平気な人は直接でも大丈夫)
・コップ1杯半以上の多めの水で
飲みます。

水に溶かしてもどうしても底に残りますし、酸っぱすぎて辛いです。
また、歯を溶かすので長く口中に置くことはお勧めできません。
カプセルが最適です。

飲んで5分ほどで胃がカーーーーーーっとなりますので、
追加で水を飲むといいでしょう。胃酸が薄まって楽になります。


いずれにせよ、レース本番だけ飲むことはお勧めできません。
(胃が動くので便意を催したりしますし)
普段の練習から試しておくべきだと思います。


もうひとつ大事なポイントがあります。
クエン酸を飲んだら、運動開始まで糖を含む飲食をしないこと。
最適なのは「水だけ」です。

次で説明します。



4)糖の利用割合が高くならないよう補給量を保つ
低糖質ダイエットの仕組みをご存知でしょうか。
糖質を摂ると、それを消化吸収し血糖値が上がります。
身体は、上がった血糖値を適切にしようと血糖値を下げるホルモンを分泌します。
「インシュリン」です。
このインシュリンは肥満ホルモンとも呼ばれ、身体の脂肪利用を抑制します。
なので、糖の摂取量を減らして血糖値をあげないようにし、
脂肪を利用して活動することで脂肪燃焼を狙います。

実は、これが補給戦略にも大きく関わっています。

インシュリンにより脂肪利用を抑制する、ということは、
逆に言えば、「糖を積極的に利用するようになる」ということです。
運動中であっても、糖を大量にとって血糖値を上げてしまうことは、
糖の枯渇を早まらせる原因になってしまうのです。

運動中は平常時よりも血糖値は上がりにくいと言いますが、
私が堺浜で練習中に補給と血糖値測定をした結果では、
糖たっぷりの補給後はしっかり血糖値は上がっています。

「運動中は糖を含むものをたっぷり摂る」のは、逆効果なのです。
補給はできるだけ頻回にわけ、少量ずつ、血糖値を上げないように摂る必要があります。


また、これは糖の節約とは関係ないのですが、
血糖値は急激に上がると急激に下がります。
その急激に下がるときに、血の気が引いたり、眠くなったり、冷や汗をかいたりすることがあります。
インシュリンショックと呼ばれ、運動どころではなくなります。
レース前に食べておかないと、とスタート直前に大量に食べている人を見かけますが、
気をつけてください。スタート1時間前からは水だけ、がいいのです。



十分に脂質代謝化している人などは、ロングレースであってもほぼ補給をしなくても済む人もいます。
ですが一般的には、2時間を超える運動では血糖値が下がってきて運動のパフォーマンスが落ちてしまいます。

なので、血糖値を上げも下げもしない適切な糖の量を知り、
それをレース中も守ること、が最適な補給戦略であると考えます。

個人差はあると思いますが、私だと1時間に30g程度。ショッツやパワーバー1個分。
ただし、一気に飲むと上がってしまうので、
フラスクなどに入れて小分けで飲めるようにするか、
ボトルに溶かしてエネルギー用のボトルにしておきます。量の管理が難しいですが。

不安であれば少し多めに持っておいたほうがいいとは思いますが、
最大でも1時間当たり60g。それ以上は吸収して利用することができず、
胃に負担をかけるだけのただの重りになってしまいます。




以上が、石橋さんの研究等から得た知識を元に、
私が自分の身体を使って練習やレースで実験してきたことから
得た結論です。

あくまでも私の考えで、どなたにでも合うというわけではないでしょう。
「固形物がないと力がでない」
「レース中もおにぎりが最強」
という方もたくさんいらっしゃるので、
胃が強くてうらやましいなあ、と思っています(笑)


どうぞご参考にして頂いて、練習でしっかり実験やシミュレーションをして
レースに活用頂ければと思います。



長文にお付き合い頂きありがとうございました(^^)



ブログランキングに参加しております。
よう書いた!(笑)とお褒めのクリックなんぞ頂けましたら幸いですw
宜しくお願いします(^^)
↓↓↓
にほんブログ村 その他スポーツブログ トライアスロンへにほんブログ村 自転車ブログ ロードバイクへ

なお、クエン酸、カプセル、カプセル詰めグッズ、
ジェルは高いからその代わりに使っているマルトデキストリンなど、
Amazonのリンク集を作ってありますので、
右の「オカン商店」から買ってくださいな~~\(^o^)/
関連記事

コメント

あざーすぅ!
補給食の話、ありがとうございます。
メチャメチャ参考にさせて頂きます。
せめてものお礼はオカン商店で購入させてもらいます。
オカンの文がオモローで思わずハ田様の本も買ってまいました(笑)
そんなオカンに流されやすいオイラです。
Re: あざーすぅ!
◆タラ夫さん
わーい、参考にして頂ければ嬉しいです(*^ω^*)
単に補給を減らしましょうって話ではないので、
練習でいっぱい試して下さいね〜。

オカン商店のご利用ありがとうございますwww
八田さんの文、ヒントがトレーニングやレースの山盛りです。是非熟読ください(^-^)
No title
伊良湖triに参加後、この補給まとめ(2)を、じっくり読ませていただき、大変参考になりました。うなづける自分の反省点がいろいろありました。
今度、鈴鹿に参加するので、抜いていく憧れのオカンの後姿を拝見できたら、うれしいです。
Re: No title
◆0913さん
そうですか!
何らかの気づきがあったならよかったです(*´ω`*)
自分はどの量があうのか、実験してから本番投入してくださいね〜!

鈴鹿出られるんですね(*´∀`*)
あ、じゃ、ヒイテモラエマスカwww
楽しみに待ってます(笑)
果糖はどうでしょう?
果糖は、インシュリンを必要としないって事なので使用してますが、
どうなんでしょうか?
Re: 果糖はどうでしょう?
◆こうきさん
私もそう聞いて以前補給に使ってました。
マルトデキストリンと半々で混ぜて。

でも、使わなくなりましたね~。
完全に根拠のない私の感想ですけど、果糖は血糖値を上げにくい・しかし吸収がよく太りやすい。
ということは、実は運動のエネルギーにはなりにくい性質の糖なのじゃないかしら?と。
リカバリーには最適だと思ってますので、運動後は主に果糖です。オレンジジュース(^^)

管理者のみに表示